※本記事にはプロモーションが含まれます
借地権付きの実家は、相続そのものに地主の承諾は不要ですが、第三者への売却には承諾料や交渉が別途必要になります。
この記事の要点
– 借地権も財産のひとつなので、法定相続人が相続する分には地主の承諾は不要です
– 売れます。ただし第三者への譲渡には原則として地主の承諾が必要で、承諾料を求められるのが一般的です
– 承諾が得られない場合は、裁判所の許可で承諾に代える「借地非訟」という手続きもあります
– 出口は主に①地主に買い取ってもらう②底地を買って所有権化する③専門買取業者に売るの3つです
– 承諾料・更新料・建替え承諾料は法律で決まった金額ではなく、地域や契約ごとの慣行です
「実家の土地は借地だった」——相続の手続きを進めるなかで、登記簿を見て初めて気づいた、という方は少なくありません。土地は地主のもの、建物だけが親名義。この状態のまま何をどうすればいいのか、戸惑うのは自然なことです。この記事では、借地権付きの実家を相続したときに起きること、売却の可否、費用の目安、3つの出口までを順番に整理します。
借地権付きの実家とは何か?
結論は、土地は地主の所有、建物だけが親(被相続人)の名義という状態です。土地を借りる対価として、毎月または毎年「地代」を地主に支払う契約になっています。
借地権には、契約した時期によって適用されるルールが異なる2つの区分があります。
| 区分 | 契約時期の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 旧法借地権 | 1992年7月31日以前の契約 | 借地人側の権利がより強く保護され、更新が原則認められる |
| 普通借地権(新法) | 1992年8月1日以降の契約 | 借地借家法にもとづく。当初の存続期間が一律30年など、旧法よりルールが整理されている |
| 定期借地権 | 1992年8月1日以降に新設 | 契約更新がなく、期間満了で建物を解体して土地を返す前提の契約 |
(出典: freeeを基に編集部作成)
実家がどちらに当たるかは、契約書に記載された契約日で判断します。契約書が見当たらない場合は、地代の領収書や地主とのやり取りの記録から契約時期を推測できることもあります。
相続したら何が起きる?
結論は、借地権も相続財産のひとつとして、法定相続人であれば地主の承諾なしに相続できるということです。相続は法律上の「一般承継」にあたり、地主への売却や譲渡とは扱いが異なるためです(参考: 不動産売却マスター/freee)。
- 相続そのものに地主の承諾は不要で、承諾料も発生しないのが原則です
- ただし、地代の支払い先や契約者名義が変わったことを、地主に知らせておくのが実務上のマナーとされています。トラブル予防のため、相続人が誰かを地主に伝える通知を出しておくと安心です
- 遺言によって法定相続人「以外」の人に権利を渡す「遺贈」の場合は扱いが変わり、第三者への譲渡と同様に地主の承諾が必要になります
なお、相続した不動産は親名義のままでは売却できません。相続登記(名義変更)が必要になる点は、借地権付きでも通常の実家と同じです。相続不動産の全体の流れは相続した家を売る手順でも整理しているので、あわせて確認してみてください。
借地権付きの実家は売れるのか?
結論は、売れます。ただし、第三者に売る(譲渡する)場合は原則として地主の承諾が必要で、承諾料の支払いを求められるのが一般的です。相続とは違い、売却は借地契約の当事者が変わる行為だからです。
地主が承諾してくれない、あるいは連絡自体が取れないというケースもあります。その場合の手段として、裁判所の許可を得ることで地主の承諾に代える「借地非訟」という手続きがあります。地主が不合理に承諾を拒んでいる場合に利用できる制度で、許可が下りれば地主の同意がなくても譲渡を進められます(参考: freee)。ただし手続きには時間も費用もかかるため、実際に使えるかどうかは司法書士・弁護士に相談して判断することをおすすめします。
3つの出口
借地権付きの実家を手放す方法は、大きく次の3つに整理できます。
| 出口 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| ①地主に買い取ってもらう | 建物を地主に売り、借地権を消滅させる | 地主に買い取る意向がある、または関係が良好 |
| ②底地を買って所有権化する | 地主から底地(土地)を買い取り、土地建物とも自分名義にする | まとまった資金があり、住み続けたい・自由に活用したい |
| ③専門の買取業者に売る | 借地権付き建物を専門業者に売却し、地主との交渉も任せられる | 早く現金化したい、地主との交渉が難しい、遠方に住んでいる |
①は地主にとっても土地の権利をすっきりさせられるメリットがあり、良好な関係が築けていれば交渉のハードルは比較的低めです。②は自己資金が必要になりますが、以後は自分の土地として自由に建て替えや売却ができるようになります。底地の買取価格は、借地人自身が買う場合は更地価格の50%程度、第三者が買う場合は更地価格の10〜15%程度が目安とされています(参考: 不動産M&Aラウンジ)。
③は、地主との交渉自体を業者に任せられる点が最大の特徴です。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の物件であれば、借地権付きの建物を専門に買い取り、地主との交渉まで代行する業者に査定を依頼する方法があります。
首都圏以外にお住まいの場合は、地元で借地権の扱いに慣れた不動産会社に相談するのが現実的な一歩です。借地権は評価や交渉に専門知識が必要なため、通常の仲介だけを扱う会社では対応が難しいこともあります。空き家全体の売却方法については空き家売却の4つの方法、買取業者の選び方については空き家の買取業者の選び方でも詳しく解説しています。
更新料・建替え承諾料など、費用の目安は?
結論は、承諾料・更新料・建替え承諾料はいずれも法律で決まった金額ではなく、地域や契約ごとの慣行だということです。目安としてよく参照される数字は次のとおりです。
| 費用の種類 | 発生するタイミング | 相場の目安(慣行) |
|---|---|---|
| 名義書換料(譲渡承諾料) | 借地権を第三者に売却するとき | 借地権価格の10%程度 |
| 更新料 | 契約を更新するとき | 借地権価格の5〜10%程度、または更地価格の3〜5%程度 |
| 建替え承諾料 | 建替え・大規模な増改築をするとき | 更地価格の3〜5%程度 |
(出典: freee/弁護士法人みずほ中央法律事務所/新青土地コーポレーションを基に編集部作成)
これらはあくまで慣行としての目安であり、法律で一律に決められた金額ではありません。実際の金額は地主との契約内容や地域、借地権の評価額によって変わります。相続そのものでは、これらの費用は原則として発生しません。発生するのは、売却や更新、建替えなど、契約や名義に動きがあるタイミングです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 借地権付きの実家は、相続放棄したほうがいいですか?
一概には言えません。借地権は財産的な価値を持つプラスの財産になり得る一方、地代の支払いや老朽化した建物の解体義務など負担も伴います。地代の滞納がないか、契約内容に問題がないかを確認したうえで、相続放棄が必要かどうかは司法書士・弁護士に相談して判断することをおすすめします。
Q2. 地代を滞納するとどうなりますか?
滞納が続くと、契約解除の対象になる可能性があります。相続後は地代の支払い先や振込口座を早めに確認し、滞納が発生していないかをチェックしておくと安心です。契約内容によって対応は異なるため、不安がある場合は専門家に確認してください。
Q3. 借地契約書が見当たらない場合はどうすればいいですか?
契約書がなくても、地代の領収書や地主とのやり取りの記録、登記簿などから契約内容を推測できることがあります。地主に契約書の写しがないか確認するのもひとつの方法です。契約内容が不明なまま売却や交渉を進めるのは難しいため、司法書士・弁護士や借地権の専門業者に相談しながら進めましょう。
Q4. 借地権と底地、両方とも相続した場合はどうなりますか?
借地権と底地の両方を相続すると、土地と建物の権利が自分のもとで一致するため、通常の所有権のある不動産として扱えるようになります。この場合は借地特有の承諾料や更新料の問題がなくなるため、通常の空き家売却の4つの方法や、空き家の買取業者の選び方を参考に進めることができます。
まとめ|「相続は承諾不要、売却は承諾が必要」を切り分けて考える
借地権付きの実家を相続したときのポイントを整理します。
- 相続そのものには地主の承諾は不要。ただし地代の支払い先の変更などは、地主に伝えておくと安心です
- 第三者への売却には原則として地主の承諾と承諾料が必要。承諾が得られない場合は借地非訟という手続きもあります
- 出口は①地主に買い取ってもらう②底地を買って所有権化する③専門買取業者に売るの3つ
- 承諾料・更新料・建替え承諾料は慣行であり、法律で決まった金額ではない点を押さえておく
- 売却にともなう税金の扱いは実家の売却でかかる税金、費用や制度の詳細判断は司法書士・弁護士への確認が安心です
借地権が絡む実家は、通常の実家よりも確認することが多く、気が重くなりやすいテーマです。それでも、相続と売却で必要なことが違うと分かるだけで、次にやることは見えてきます。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の物件で売却を考えているなら、借地権付き建物を専門に扱い、地主との交渉まで任せられる業者に、まず査定を出してみることから始めてみてください。首都圏以外の方は、地元で借地権の扱いに慣れた不動産会社に相談するところから始めてみましょう。
本記事の数値・制度は下記出典に基づきます。誤りを見つけた場合はお問い合わせからお知らせください。
参考文献
- freee「借地権とは?種類や借地借家法における取り扱いをわかりやすく解説」 https://www.freee.co.jp/kb/kb-business/what-is-leasehold/
- 不動産売却マスター(mecyes)「借地権とは何かをわかりやすく解説」 https://www.mecyes.co.jp/taqsie/master/sale/land/what-is-shakuchiken/
- 弁護士法人みずほ中央法律事務所「借地権譲渡の承諾料の相場(借地権価格×10%)と借地権価格の考え方」 https://www.mc-law.jp/fudousan/640/
- 新青土地コーポレーション「借地権・底地の更新料・承諾料」 https://shinseiland.com/knowledge/fee/
- 不動産M&Aラウンジ「借地権と底地、地上権・賃借権との違いと相場」 https://ma-la.co.jp/m-and-a/leasehold-right/
- 借地の味方「借地権をわかりやすく解説」 https://shakuchi-mikata.com/shakuchiken/
- みんなの不動産売却「借地権の種類」 https://minna-fudosan.com/leasehold-types


コメント