実家に放置された動かない車・車検切れの車をどうする?|処分の順番と費用

実家のカーポートに放置された車のイラスト

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実家の車庫で何年も動いていない車は、まず車検証の名義・車検の期限・自動車税の未納を確認し、公道には出さずに引取業者へ相談するのが安全な進め方です。

  • 車検切れの車を公道で走らせると道路運送車両法違反になり、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。自賠責保険も切れていると、さらに重い罰則が加わります
  • 動かす必要があるときは、市区町村で取れる仮ナンバー(臨時運行許可)か、業者へのレッカー依頼のどちらかを使います
  • 処分先は主に引取業者・ディーラー・廃車買取業者・解体業者の4つ。動かない車でも、車種や年式によっては0円以上の買取になることがあります
  • 自動車税(2026年3月までの名称は自動車税種別割)を止めるには一時抹消登録が必要です。放置しているだけでは課税は止まりません
  • 相続の名義変更が済んでいない車は、処分の前にそちらが先です
目次

まず確認すること3つ|車検証の名義・車検の有効期限・自動車税の未納

結論から言うと、動かない車を処分する前に、車検証の名義・車検の有効期限・自動車税の未納状況の3つを確認してください。この3つで、次にやるべきことが変わります。

確認すること どこで分かるか 分かった後にすること
車検証の名義 車検証の「所有者」欄 亡くなった親のままなら、処分の前に相続の名義変更が必要
車検の有効期限 車検証の「有効期間の満了する日」欄 切れていれば公道を自走させることはできません(後述)
自動車税の未納 納税通知書、または届いた督促状 あっても処分はできますが、名義変更や売却時に清算を求められることがあります

車検証が見つからない場合や、名義が亡くなった方のままになっている場合は、この記事の中の「相続手続きが終わっていない場合は?」で詳しく説明します。まずは実家の中や車内を探して、車検証を確認することから始めてください。

動かない車は公道を走れない|仮ナンバーとレッカーの基礎知識

結論: 車検切れの車は、1メートルであっても公道を自走させることはできません。動かす必要があるときは、仮ナンバーを取るか、業者にレッカーで運んでもらうかのどちらかです。

車検切れ・自賠責切れで走ると何が起きるか

道路運送車両法第58条第1項は、有効な自動車検査証(車検)がなければ運行してはならないと定めており、違反すると同法第108条第1号により6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります(2025年の法改正で「懲役」は「拘禁刑」という呼び方に変わっています)。さらに自賠責保険も切れている場合は、自動車損害賠償保障法第5条・第86条の3第1号により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が別に定められています。車検切れと自賠責切れは同時に起きていることが多く、うっかり数百メートル動かしただけでも両方関わってくる可能性がある、と覚えておいてください。

仮ナンバー(臨時運行許可)の取り方

車検切れの車を運輸支局や車検業者まで自走させたい場合は、仮ナンバー(臨時運行許可)を使う方法があります。道路運送車両法第35条にもとづき、市区町村の窓口(多くは総務課などの担当課)で申請します。

項目 内容
申請窓口 お住まいの市区町村役場の担当窓口
手数料 1件750円が政令で定められた全国共通の標準額
有効期間 法律上は最長5日以内。自治体や目的地によって3〜5日程度に運用されます
主な必要書類 申請書、自賠責保険証明書(原本・許可期間をカバーするもの)、車検証、本人確認書類

注意したいのは、仮ナンバーを取るにも自賠責保険が有効であることが前提になる点です。切れている場合は先に加入し直してから申請します。窓口の場所や受付時間は自治体ごとに異なるため、事前に電話で確認しておくと二度手間になりません。

レッカーで運ぶという選択肢

「役所に行く時間もない」「バッテリーも上がっていて動かせない」場合は、業者にレッカーで運んでもらう方法もあります。参考として、JAF(日本自動車連盟)の非会員向け料金では一般道路・昼間の基本料金が1万5,700円、けん引は1kmごとに830円が加算されると公表されています。ただし民間業者の料金・条件は会社によって大きく異なり、後述する廃車買取業者に相談すると、レッカー代を業者側が負担してくれるケースもあります。

処分の選択肢と費用の違い|引取業者・ディーラー・廃車買取・解体業者

結論: 動かない車の処分先は主に引取業者・ディーラー・廃車買取業者・解体業者の4つで、「引き取りにお金がかかるか」「買取になる可能性があるか」がそれぞれ違います。

依頼先 主にできること 動かない車への対応 費用の傾向
引取業者(引き取り専門) 車両の引き取り・廃車手続きの代行 レッカー込みで対応するところが多い 無料を掲げる業者が多いが、条件は業者・地域で異なる
ディーラー(下取り) 新車購入とセットの下取り 断られる、または減額されることがある 下取り額は査定次第。費用がかかることは少ない
廃車買取業者 動かない車・車検切れ専門の査定 得意な業者が多く、レッカー代を業者負担にする例も 0円〜買取まで業者・車種によりさまざま
解体業者(直接依頼) 車の解体・スクラップ処理 対応可能だが運搬費が別途かかる場合がある 業者・車種・立地によって差が大きい

依頼先によって「お金を払うのか」「もらえるのか」が変わります。「そもそも売るべきか廃車にすべきか」で迷う段階なら、実家の車は売る?廃車?譲る?の記事で判断基準を先に確認しておくと選びやすくなります。

引き取り無料+買取になる条件

結論: 動かない車・車検切れの車でも、部品としての需要や海外への輸出需要があれば、0円以上の買取になることがあります。「動かないから値段はつかない」と決めつける前に、査定を受けてみる価値はあります。

買取になりやすいとされる主な条件は、年式が極端に古すぎない(部品取りの需要)、国内外で人気の車種・グレードである、事故による大きな損傷がない(バッテリー上がりやタイヤの劣化は影響しにくいとされます)、エンジンやミッションなど主要部品が生きている、といった点です。

当てはまらなくても、廃車専門の買取業者なら引き取り込みで査定を出してもらえるのが一般的です。「必ず無料になる」「必ず買い取ってもらえる」というものではありませんが、まずは廃車専門の買取業者に、レッカーでの引き取りを含めた形で査定を依頼するのが、時間もお金もかけずに済む現実的な進め方です。

自動車税を止めるには|一時抹消登録という選択肢

結論: 自動車税の課税を止めるには、一時抹消登録という手続きが必要です。名義を変えずに放置しているだけでは、課税は止まりません。

自動車税の納税義務者と賦課の仕組み

地方税法第146条は、自動車税はその所有者に課すると定めています。賦課期日は毎年4月1日(同法第155条)で、東京都主税局のFAQでも「4月1日現在、車検証に登録されている所有者」が納税義務者であると説明されています。

ここで注意したいのが、年度の途中で名義変更(譲渡)をしただけでは、その年度分の自動車税は元の所有者に課税されたままという点です。東京都主税局によれば、新しい所有者への課税は翌年度からで、前の所有者がその年度分を納める義務を負います。一方で地方税法第157条にもとづき、年度の途中に自動車を抹消登録(一時抹消・永久抹消)した場合は、抹消した月の翌月から月割で課税が減額される扱いです。つまり課税を止めたいなら、名義変更ではなく抹消登録が必要です。

一時抹消登録は、国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトによると、申請書・所有者の印鑑証明書・自動車検査証・ナンバープレートなどを窓口に提出して手続きします。車検の有効期限切れを理由に一時抹消登録ができない、とはされていません。動かさなくなった車ほど、早めに済ませておくのが合理的です。詳しい必要書類や流れは実家の車を廃車にする手順の記事でまとめています。

軽自動車税は還付されない

普通車の自動車税と異なり、軽自動車税(2026年3月までの名称は軽自動車税種別割)には月割課税(還付)の制度がありません。清瀬市の公式FAQも「軽自動車税には月割課税(還付)の制度はありません」「4月1日に所有されている場合、4月2日以降に名義変更や廃車をされても、年税額全額を納付していただきます」と明記しています。4月1日をまたぐ前に一時抹消登録を済ませておかないと、その年度分は満額の負担になる点に注意してください。

相続手続きが終わっていない場合は?

結論: 車検証の名義が亡くなった親のままになっている場合は、処分や廃車買取の査定よりも先に、相続の名義変更(移転登録)が必要です。

道路運送車両法第13条第1項は、所有者の変更があった日から15日以内に移転登録を申請しなければならないと定めています。関東運輸局によると、車検証・戸籍謄本(または法定相続情報証明書)・遺産分割協議書・相続人の印鑑証明書・車庫証明書などが主な必要書類です。相続する車の査定額が100万円以下であれば、遺産分割協議書の代わりに査定証明書を添えた「遺産分割協議成立申立書」という簡略書式が使えると国土交通省の様式に明記されており、実家の車の多くはこの金額の範囲に収まります。詳細は相続した車の名義変更の記事で解説しています。

相続人が複数いて連絡が取れない、話し合いがまとまらないといった事情があるなら、処分を急ぐより先に家族間の合意形成を優先してください。実家の片付けの順番の記事でも触れているとおり、車も含めた実家の整理は相続の手続きが土台になります。

車の処分は、実家の片付け全体からするとほんの一部です。家を売るか空き家のまま残すか迷っている場合は相続した実家の売却の記事や空き家になった実家の記事、進め方全体は実家じまい完全ガイド、遺品の整理は遺品整理を自分でする方法の記事もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. バッテリーが上がっているだけで、他は問題なさそうな車も同じ手順ですか?

はい。業者によっては現地でジャンプスタートして引き取ってくれますが、車検が切れている場合は自走させられない点は変わりません。まずは車検証で有効期限を確認し、廃車専門の買取業者や引取業者に「バッテリーが上がっている」と伝えて相談してください。

Q2. 車検証が見つからない場合はどうすればいいですか?

運輸支局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)で再交付を受けられます。ただし名義が亡くなった方のままになっている可能性もあるため、相続の名義変更が済んでいるかを先に確認し、未了なら前述の相続した車の名義変更の記事を参考に手続きを進めてください。

Q3. 自動車税の督促状が届いていますが、支払ってから処分すべきですか?

未納があっても車自体の処分はできますが、名義変更や抹消登録の際に清算を求められることがあり、放置すると延滞金も加算されます。督促状に記載された道府県税事務所(軽自動車税なら市区町村の窓口)に、まず現状を相談することをおすすめします。

Q4. 相続人が複数いて、車を相続する人が決まっていません。それでも処分できますか?

相続人全員の同意(遺産分割協議)がまとまるまでは処分できません。名義変更や査定の依頼は、車を相続する人が決まってから行う手続きです。話し合いが長引きそうなら、車を無理に動かそうとせず、一時抹消登録だけ先に済ませて自動車税の負担を止める進め方もあります。

まとめ|まず確認、次に止める、それから処分先を選ぶ

  • 動かない車は、車検証の名義・車検の有効期限・自動車税の未納の3つをまず確認します
  • 車検切れの車は公道を自走できません。動かす必要があるときは仮ナンバー(手数料750円が標準・有効期間は最長5日)かレッカー依頼を使います
  • 処分先は引取業者・ディーラー・廃車買取業者・解体業者の4つ。動かない車でも部品や輸出の需要次第で買取になることがあります
  • 自動車税を止めるには一時抹消登録が必要です。軽自動車税には還付の制度自体がない点にも注意してください
  • 車検証の名義が亡くなった親のままの場合は、処分より先に相続の名義変更(15日以内が原則)を済ませる必要があります

判断に迷う場合は、まず廃車専門の買取業者に、引き取り込みで査定を依頼してみることから始めてみてください。動かせない車でも、査定額が分かるだけで次の一歩が決めやすくなります。


参考文献

  • e-Gov法令検索「道路運送車両法」第13条・第35条・第58条・第108条・第109条 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
  • e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」第5条・第86条の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/330AC0000000097
  • e-Gov法令検索「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」別表(臨時運行の許可に関する事務・750円) https://laws.e-gov.go.jp/law/412CO0000000016
  • e-Gov法令検索「地方税法」第146条・第155条・第157条・第449条 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
  • 横浜市「自動車臨時運行許可(仮ナンバー)」 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/rinziunkou/2019rinziunkou.html
  • 世田谷区「仮ナンバー(自動車臨時運行許可番号標)を発行します」 https://www.city.setagaya.lg.jp/02401/552.html
  • 東京都主税局「自動車税|自動車と税金」 https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/automobiles/j
  • 清瀬市「軽自動車税は月割ですか?年度途中で廃車したら一部還付されますか」 https://www.city.kiyose.lg.jp/faq/kurashi/zei/1002973.html
  • 国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト「抹消登録」 https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/about/register/erase/index.html
  • 国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト「車の使用を一時中止するために必要な書類」 https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/scrapp/document/index.html
  • 関東運輸局「単独相続(相続人のうち一人が相続する場合)」 https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/jidou_gian/touroku/souzoku_tandoku.html
  • 国土交通省 中国運輸局「遺産分割協議成立申立書」様式・注意書き https://wwwtb.mlit.go.jp/chugoku/content/000340978.pdf
  • JAF「ロードサービスの料金を調べる」 https://jaf.or.jp/common/about-road-service/estimate-costs
  • 横浜市保土ケ谷区「道路上の放置自動車、放置自転車の撤去」 https://www.city.yokohama.lg.jp/hodogaya/kurashi/machizukuri_kankyo/jimusho/doro/13-bike.html
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この記事を書いた人

たたみさんのアバター たたみさん 実家じまいプロ 編集担当

「実家じまいプロ」の案内人(ペンネーム)。親の家とお墓を片づける手続きを、自治体の公式サイトを1件ずつ確認しながら書いています。窓口の運用は自治体ごとに違うため、申請の前には各自治体への確認をおすすめしています。

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